発電設備の取扱いについては、電気事業法に基づいた届出が必要になるのですが、保安規定の届出や主任技術者を選任するには「電気の資格」が必要です。
また、資格を持たない場合は、点検等の業務を依頼する必要があるため、コストが掛かります。
そこで、この記事では、電気主任技術者の選任不要のBCPジェネレーターについて解説をします。
記事のポイント
- 電気事業法の概要について。
- 電気主任技術者とは。
- 小規模ホームやクリニックでBCPジェネレーターが選ばれる理由。
可搬型・非常用発電設備の設置を検討中の、施設の代表者やご担当者さまは、ぜひ最後までご覧ください。
電気事業法とは?
電気事業法とは、電気に関する基本的なルールを定めた法律で、電気の供給や使用による危険や障害を防ぐための法律のことです。
この法律の目的は、電気事業が適切かつ合理的に運営され、電気の使用者の利益が保護され、電気事業が健全に発展することを目指しています。
さらに、電気設備の工事や維持、運用を規制することで公共の安全を確保し、環境を保全することも目指しています。
電気設備について
電気設備は大きく分けて、事業用(自家用を含む)と一般用の2つに分類されますが、事業用電気設備については、技術基準に適合していることが求められ、技術基準に適合しない場合は「適合するよう命じられる」ことがあります。
また、保安規定を作成する義務があり、主任技術者(電気主任技術者)を任命した上で「定期的に自主検査を行う義務」も発生します。
更に、工事計画を事前に届け出たり、使用前に検査を受けるなどの手続きが求めらるのですが、資格を持たない方にとっては、難易度の高い対応を求められることになります。
電気主任技術者とは?
電気主任技術者とは、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督を行うために、設置者が電気事業法上置かねばならない電気保安のための責任者の事を指します。
また、 電気主任技術者の資格には、第一種、第二種及び第三種電気主任技術者の3種類があります。
電気主任技術者の種類を解説
- 第一種電気主任技術者・・すべての事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安の監督を行うことができます。
- 第二種電気主任技術者・・電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安の監督を行うことができます。
- 第三種電気主任技術者・・電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力 5千キロワット以上の発電所を除く)の工事、維持及び運用の保安の監督を行うことができます。
試験は誰でも受験することができ学歴や実務経験を必要としませんが、非常に難易度が高いとされています。
可搬型・非常用発電設備の届出について
出力10kW以上の可搬型・非常用発電設備を使用する場合は、次の手続きが必要となります。
電気主任技術者の選任
電気設備の安全を確保するため、専門的な知識を持つ電気主任技術者の選任が必要なのですが、この主任技術者は、以下の方法で選ぶことができます。
電気主任技術者の選任方法
- 企業内に電気主任技術者や電気工事士の資格を持つ者がいる場合、その人を主任技術者として選任します。
- そうでない場合、国が認定した電気管理技術者や電気保安法人といった専門家に、主任技術者の業務を委託し、電気設備の点検や保安の管理を行います。
保安規定の届出
電気主任技術者が行う点検や役割を定めたルール(保安規程)を作成し、それを届け出る必要があります。
これらの手続きは、電気工作物が設置される場所を管轄する「産業保管監督部」に対して行う必要があります。
出力10kW・12.5kVA未満|電気主任技術者の選任不要のBCPジェネレーター
しかし、この届出の基準に該当することが無ければ、電気主任技術者の選任も保安基準の届出も、行う必要が無いのです。
発電設備の出力を確認する
可搬型・非常用発電設備(移動式の発電設備・定置式の発電設備)の「出力」が10kW未満の場合は、電気主任技術者の選任も保安基準の届出をする必要がありません。
こちらのBCPジェネレーター(下画像)の場合は、発電機本体に「8.5kWの記載」があることから、10kW未満である事が確認できるため、電気主任技術者を選任する必要も保安基準の届出をする必要もありません。
小規模ホームやクリニックでBCPジェネレーターが選ばれる理由
先に解説をした通り、可搬型・非常用発電設備(移動式の発電設備・定置式の発電設備)の「出力」が10kW未満の場合は、届出等が不要にはなる事は分かりましたが、ここで気になる事は「BCPジェネレーターの能力(出力)」では無いでしょうか?
ここでは、BCPジェネレーターの能力について解説をします。
BCPジェネレーターの能力について
BCPジェネレーターを使用するための「燃料」は、主に「プロパンガスと都市ガス」の2つですが、ここではプロパンガスを使用する場合の目安について解説をします。
1度に使用できる電化製品の目安
- スマートフォンの充電・・100台(1.0kW)
- パソコンの電源・・10台(1.0kW)
- LEDベースライト・・30台(1.2kW)
- ルームエアコン(2.8kW)・・3台(3.0kW)
- 冷蔵庫450リットル・・1台(0.25kW)
BCPジェネレーターでは、これらの電化製品を同時に使用することが可能となり、稼働時間については「プロパンガスの予備」があれば、連続72時間以上の運転も出来るのです。
小規模ホームやクリニックで選ばれる理由
BCPジェネレーターはこのような出力を有しながらも、経済産業省への届出の必要がないため、小規模ホームやクリニックで選ばれる大きな理由となっています。
また、燃料に「プロパンガスを使用」している点も評価が高く、二酸化炭素排出原単位は、原油を1.00とした場合、指数換算で0.86となるため、環境に配慮した発電機としてのニーズも多いのです。
まとめ
この記事では、【LPG発電機】出力10kW・12.5kVA未満|電気主任技術者の選任不要のBCPジェネレーターについて解説をしましたが、最後にポイントを整理しておきます。
記事のまとめ
- 可搬型・非常用発電設備の出力、10kW以上と10kW未満で、電気主任技術者の選任と保安基準の届出の有無が異なる。
- BCPジェネレーターは「出力:8.5kW」なので、届出が不要。
- BCPジェネレーターは、比較的導入し易い発電機のため、小規模ホームやクリニックをはじめ、店舗などにも選ばれている。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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